創作小話『科学リテラシーを研鑽していたイノシシとキツネ』

 イノシシが、科学に関する教科書を山ほど読んでいました。
 「自分の科学リテラシーを、どんどんレベルアップするのです」

 それを見たキツネは、不思議に思って問いました。
 「いまのところ、モヒカン的な論者から狩られる心配はないのに、どうして科学知識を詰め込むのですか」
 「そんな作業で時間を消費するよりも、」
 「狭い書斎の真ん中に安楽椅子を置いて、ネットの画面に向かって好きに放言して、ドヤ顔を決めて寝る日々が、楽でいいですよ」

 イノシシは答えました。
 「たしかに、いまは平穏無事の生活だけれど、明日も同じとは限りません」
 「それに、脅威はモヒカン的な論者だけではありません」
 「私の懐の銭を目的として話かけてくるニセ科学推進者も、警戒しておくべきです」

 【教訓】これは、いつの日にか面倒な目にあって疲弊する事態を想定し、読書の時間があるうちに科学リテラシーを高めておけば安心感が増すという話です。