創作小話『科学的にダメな記事を書いたブロガーと、穏健なニセ科学批判者』

 Aさんが自ブログで主張しました。
 「この私は、『disの能力を通常の3倍に向上させる罵倒芸イオン』が実在すると確信している」
 「なぜならば、『罵倒芸イオンがこの宇宙のどこにも存在しない』ということを、証明した者が居ないからである」
 「ゆえに、罵倒芸イオンは実在しているといえる」
 「この主張を『なんじゃそら?』と思った者は、『罵倒芸イオンがこの宇宙に存在しない』という証拠を出してくれたまえ」

 すると、穏健なニセ科学批判者を名乗るAさんが現れて意見しました。
 「Aさんの主張は、説得力が今ひとつです」
 「プロの科学者たちの世界においては、『新規な主張をする人自身が確かな根拠を示す義務がある』と聞いています」
 「ここはひとつ、Aさんご自身で罵倒芸イオンの実在を示す証拠を探して公開してはいかがでしょうか」

 Aさんは、Bさんの態度を批判しました。
 「一読者の分際で、私の主張を頭ごなしに否定して、とどめに『己が先に自説の証拠を示せ、この科学おんち』と発言するとは何事か」
 「話を逸らすB氏こそ、私の主張が間違っているという証拠を出したまえ」
 「それがニセ科学を批判する者の義務である」

 これを聞きつけた苛烈なニセ科学批判者が、Aさんのブログに興味を持って、じっくりゆっくりと読み始めました。
 ただならぬ雰囲気を感じたAさんは、Bさんにお願いしました。「さっきの話は冗談だ、なかったことにしてほしい」

 Bさんは、困った様子で言いました。
 「私自身はかまいませんが、Aさんの今度の相手は苛烈なニセ科学批判者です」
 「Aさんの話が冗談だろうと本気だろうと気にせず修正してきますよ」

 【教訓】この話は、立証責任の転嫁を気楽に続ければ続けるほど苦しい状況に追い込まれるという現実を明らかにしています。