ニセ科学批判批判を行う際のスタンスとして、次の三つが考えられる。
その1:「私は○○氏が嫌いである。ゆえに私は、○○氏の言うこと全てに反対を表明する」
その2:「私は○○氏が嫌いである。だからといって、○○氏の言うこと全てに反対するのも変な気がする」
「というわけで、○○氏が何か主張するたびに検証を行い、『これはアカン内容ですやん』と判断したときに限ってダメ出しする」
その3:「私は○○氏が嫌いである。しかし、」
『○○氏に対する私情を脇に置き、○○氏が述べる主張の内容のみに神経を集中する。それが、クールヘッドなニセ科学批判批判だ』
「と思う私も居たりする」
「では、どうするか? ○○氏が良いことを述べたときは褒めてあげ、ダメなことを述べたときはdisり倒す。これが、現実解である」
以上の三つのうち、『その1』のスタンスが最良と思われる。
なにしろ、自分が嫌っているニセ科学批判者の言うことを頭ごなしに否定するだけなので、楽に実行できる。
それに比べて『その2』のスタンスは、「なにかしら主張されるたびに内容をいちいち検証しなければならず、とっても面倒」というデメリットがある。
『その3』のスタンスは、「主張の内容をいちいち検証するのって面倒」というデメリットに加えて、
「検証の結果が良かった場合、『妥当な主張の公開、大儀である』というお褒めのコメントを作って投稿ボタンを押すわけだが、この作業がけっこう面倒」
というデメリットがある。
ゆえに、『その1』のスタンスが最良という結論になる。
「最良ではなく最悪でしょう」と思われた御方は、『その1』のスタンスでニセ科学批判批判を行うと多大なストレスを感じてしまうだろう。
そのときは、「嫌いなニセ科学批判者のツイートやブログは、ひとつも見ない」というスタンスに切り替えてストレスを解消しよう。
(この記事は、次のはてなブックマークを読んだあとで作りました)
はてなブックマーク - 良い方のニセ科学バスター菊池教授。ダメな方じゃなくて良かった - IkaMaruのコメント - はてなブックマーク
ネタのお言葉『disログの住民、議論の打ち切りを思わず』
この言葉は、孟浩然の詩「春暁」の罵倒芸版である。
【意訳】
そのログに集う人々は、皆が己の一人勝ちを目指して譲歩を許さず、disコメントの応酬を続けていた。
殊勝で丁重なコメントを投稿する人も居たが、やがて荒い風袋となり、ついには憤怒の声を上げた。
憤怒の声を上げる人:「おい、有象無象のお前たち! ネットマナーを守れという俺様の命令が聞こえねえのか!」
他の人々:「そういうあなたが一番態度が悪いんだよ!」
急にサーバーが落ちたが、あのdisログの白熱したやり取りが原因か。気になって眠れない。
【意訳、終わり】
そのような不眠の日があったと孟浩然は記している。
【意訳】
そのログに集う人々は、皆が己の一人勝ちを目指して譲歩を許さず、disコメントの応酬を続けていた。
殊勝で丁重なコメントを投稿する人も居たが、やがて荒い風袋となり、ついには憤怒の声を上げた。
憤怒の声を上げる人:「おい、有象無象のお前たち! ネットマナーを守れという俺様の命令が聞こえねえのか!」
他の人々:「そういうあなたが一番態度が悪いんだよ!」
急にサーバーが落ちたが、あのdisログの白熱したやり取りが原因か。気になって眠れない。
【意訳、終わり】
そのような不眠の日があったと孟浩然は記している。
創作小話『ニセ科学批判者ならばニセ科学擁護者の気持ちが完全に満足するまで言い分を聞いてあげるべきと主張したブロガー』
ニセ科学批判批判者のAさんが、自ブログで言いました。
「世のニセ科学批判者たちは、ニセ科学擁護者たちの言い分に間違いがあると必ず取り上げて指摘しているが、これはニセ科学擁護者に反感を覚えさせる行為なのでダメである」
「ほかのものを批判している人はともかく、ニセ科学を批判対象として活動している者には、ニセ科学擁護者たちの気持ちを完全に満足させてあげる義務がある」
「誰が決めた義務なのか? 私である」
「というわけで、今からニセ科学批判者たちは間違いの指摘を封印し、ニセ科学擁護者たちの気持ちが完全に満足するまで言い分を徹底的に聞いてあげたまえ」
すると、ニセ科学批判者のBさんが現れて言いました。
「Aさんのご主張は、理想論としては納得できますが、現実的には厳しいです」
「ニセ科学擁護者たちの心情に寄り添いつつ、遠まわしにふんわりと間違いを指摘する、これならば現実的にも厳しくないです」
Aさんは反論しました。
「貴公には、ニセ科学擁護者たちの気持ちが完全に満足するまで言い分を徹底的に聞いてあげた経験があるかね?」
「なに、【ひとつもございません】とな?」
「ならば、実際に経験した後で私の主張に文句を言いたまえ」
「なお、ツッコミを入れられる前に告白しておくが、私自身もニセ科学擁護者たちの気持ちが完全に満足するまで言い分を徹底的に聞いてあげた経験はない」
「これからも、そのような経験をするつもりはない」
「なぜならば、私は一傍観者にすぎない立場のブロガーだからである」
「ニセ科学擁護者たちの非合理な話につきあう時間など、私は一秒も持っておらんのである」
「これを聞いた読者たちの中には、」
『自分で実施するつもりがない行為をニセ科学批判者たちに義務として負わせようというわけですか、ずいぶんとお偉い立場なのですね』
「という感想を抱いた者が居るかもしれないが、事実として私はお偉い傍観者を自認しているので、オッケーである」
「なお、これを漫画の『ジョジョの奇妙な冒険』風に言い表すと、」
『自分がしないことを、ニセ科学批判者たちに平然と指図する! そんな私にしびれる! あこがれる!』
「となる」
聞き終えたBさんは、「そんなブロガー、修正してやるっ」と思い立ち、disコメントを用意しましたが、
「今まで私は、穏健派のニセ科学批判者というイメージを地道に作り上げてきた」
「ここでdisを公開したならば、穏健なイメージを一瞬で無くすことになる」
と考え直し、かわりに【ほほえみを湛えつつ、しずしずとAさんのブログを去る】という行動を選択しました。
Bさんの後ろ姿を見送った他の読者たちは、「Aさんの物言いに怒りを露にすることもなく退場できるとは、実に抑制の効いたニセ科学批判者だ」感心しました。
【教訓】このように、ネット上で行う対話においては、相手の言い分に多大な理不尽を覚えたとしても、怒りの態度を見せず、反論のコメントも投げず、ニコニコ笑顔で聞いてあげる態度に徹して対話を終えると聴衆から良い評価をもらえます。
これこそが、『アンガーマネジメント』の一番の利点なのです。
(この記事は、次のTogetterまとめを読んだあとで作りました)
yunishio氏と化学物質過敏症
「世のニセ科学批判者たちは、ニセ科学擁護者たちの言い分に間違いがあると必ず取り上げて指摘しているが、これはニセ科学擁護者に反感を覚えさせる行為なのでダメである」
「ほかのものを批判している人はともかく、ニセ科学を批判対象として活動している者には、ニセ科学擁護者たちの気持ちを完全に満足させてあげる義務がある」
「誰が決めた義務なのか? 私である」
「というわけで、今からニセ科学批判者たちは間違いの指摘を封印し、ニセ科学擁護者たちの気持ちが完全に満足するまで言い分を徹底的に聞いてあげたまえ」
すると、ニセ科学批判者のBさんが現れて言いました。
「Aさんのご主張は、理想論としては納得できますが、現実的には厳しいです」
「ニセ科学擁護者たちの心情に寄り添いつつ、遠まわしにふんわりと間違いを指摘する、これならば現実的にも厳しくないです」
Aさんは反論しました。
「貴公には、ニセ科学擁護者たちの気持ちが完全に満足するまで言い分を徹底的に聞いてあげた経験があるかね?」
「なに、【ひとつもございません】とな?」
「ならば、実際に経験した後で私の主張に文句を言いたまえ」
「なお、ツッコミを入れられる前に告白しておくが、私自身もニセ科学擁護者たちの気持ちが完全に満足するまで言い分を徹底的に聞いてあげた経験はない」
「これからも、そのような経験をするつもりはない」
「なぜならば、私は一傍観者にすぎない立場のブロガーだからである」
「ニセ科学擁護者たちの非合理な話につきあう時間など、私は一秒も持っておらんのである」
「これを聞いた読者たちの中には、」
『自分で実施するつもりがない行為をニセ科学批判者たちに義務として負わせようというわけですか、ずいぶんとお偉い立場なのですね』
「という感想を抱いた者が居るかもしれないが、事実として私はお偉い傍観者を自認しているので、オッケーである」
「なお、これを漫画の『ジョジョの奇妙な冒険』風に言い表すと、」
『自分がしないことを、ニセ科学批判者たちに平然と指図する! そんな私にしびれる! あこがれる!』
「となる」
聞き終えたBさんは、「そんなブロガー、修正してやるっ」と思い立ち、disコメントを用意しましたが、
「今まで私は、穏健派のニセ科学批判者というイメージを地道に作り上げてきた」
「ここでdisを公開したならば、穏健なイメージを一瞬で無くすことになる」
と考え直し、かわりに【ほほえみを湛えつつ、しずしずとAさんのブログを去る】という行動を選択しました。
Bさんの後ろ姿を見送った他の読者たちは、「Aさんの物言いに怒りを露にすることもなく退場できるとは、実に抑制の効いたニセ科学批判者だ」感心しました。
【教訓】このように、ネット上で行う対話においては、相手の言い分に多大な理不尽を覚えたとしても、怒りの態度を見せず、反論のコメントも投げず、ニコニコ笑顔で聞いてあげる態度に徹して対話を終えると聴衆から良い評価をもらえます。
これこそが、『アンガーマネジメント』の一番の利点なのです。
(この記事は、次のTogetterまとめを読んだあとで作りました)
yunishio氏と化学物質過敏症
創作小話『そんな小さなニセ科学を批判して悦に入っている段階ではないと述べて一人勝ちした者』
ある村の広場で、ニセ科学に関する公開の討論会が行われていました。
最初にAさんが主張しました。
「EM菌の理論についてですが、科学的に摩訶不思議な話がいくつも含まれています。『すごい、万能の効果だ!』と飛びついたり、支持を表明したりするのは考えものです。懐疑的に受けとめたほうが無難ですね」
次にBさんが主張しました。
「化学物質過敏症についてですが、提唱されてから何年も『確かな証拠は見つからず』という状態です。『検証実験の仕方が悪いだけ、別の方法で検証すれば必ず証拠が見つかる』という人の話は、一歩引いて聞いたほうがよさそうですね」
三人目にCさんが主張しました。
「罵倒芸イオン実在説は、内容もダメすぎですが、」
『まだ見つかっていないだけ、この宇宙空間を隅々まで探した暁に見つかる、しかし科学者たちは一向に探そうとしない、実に怠慢な連中だ』
「という提唱者の言い訳も、ダメすぎです。他人に自分の主張の根拠を探させようとしている時点で、失格ですね」
最後にDさんが言いました。
「そんな小さなニセ科学を批判して悦に入っている段階ではない」
「現代科学文明社会の日本において、いまだにニセ科学を鵜呑みに信じるこの村の、理科教育の失敗をしっかりと認識し、村政のあり方を一から検討すべき段階である」
「そうしなければ、『ポケモンのジラーチが眠っている時間』が経っても事態が変わらないのである」
「なお、ジラーチが眠っている時間は約1000年と言われている」
これを聞いた他の論者たちは、「ふむふむ……えっ?」となりました。
場の空気の異変を察知した司会者が、Dさんに注意しました。
「御説ごもっともですが、その話は別の機会にしてくださるよう、お願いいたします」
Dさんは反論しました。
「そのような注意を述べて悦に入っている段階ではない」
「この討論会の失敗をしっかりと認識し、村政のあり方を一から検討すべき段階である」
「そうしなければ、太陽系が銀河系を一周するほどの時間が経っても事態が変わらないのである」
「なお、太陽系が銀河系内の軌道を一周する時間は、約2億5千万年と考えられている」
これを聞いた司会者は、「うん……えっ?」となりました。聴衆も、「ほう……えっ?」となりました。
それ見たDさんは、勝利宣言しました。
「みんな黙ってしまった、私の言っていることが的を射ており、反論する余地が一つもないからだ」
「私と同じレベルでニセ科学問題を語る村人が現れるのは、いつの日だろうか? いや、そんな日は永遠に来ない」
「切れ者はつらい、いつも孤独な立場に置かれてしまう」
言い終えたDさんは、やれやれという表情で会場を去りました。
以上、「そんな小さなニセ科学を批判して悦に入っている段階ではないと述べて一人勝ちした者」というお話でした。
【教訓】この話は、個別のニセ科学を取り上げて議論している場所で、「そんな小さなニセ科学を批判して悦に入っている段階ではない、もっと大枠の形でニセ科学を語る段階だ、そうしないとニセ科学問題はいつまで経っても解決しない」と言ってあげると、他の人たちが一斉に引いてしまうという現実を明らかにしています。
(この記事は、次のはてなブックマークを読んだ後で作りました)
segawashinさんのコメント
【追記】細かい話をしている論者を見かけたときは、「そういう段階ではない、今は大枠の形で話をするべき段階だ」と言ってあげる。
大枠の形で話をしている論者を見かけたときは、「細かい部分も語るべきだ、今のあなたは『森を見て木を見ず』の状態だ」と言ってあげる。
この行動を繰り返すことにより、自分一人の勝ちが次々と積み重なる。
「煙たい人という評判が立ってしまうのでは?」と思われた御方は、この芸に不向きな人である。採用を断念しよう。
最初にAさんが主張しました。
「EM菌の理論についてですが、科学的に摩訶不思議な話がいくつも含まれています。『すごい、万能の効果だ!』と飛びついたり、支持を表明したりするのは考えものです。懐疑的に受けとめたほうが無難ですね」
次にBさんが主張しました。
「化学物質過敏症についてですが、提唱されてから何年も『確かな証拠は見つからず』という状態です。『検証実験の仕方が悪いだけ、別の方法で検証すれば必ず証拠が見つかる』という人の話は、一歩引いて聞いたほうがよさそうですね」
三人目にCさんが主張しました。
「罵倒芸イオン実在説は、内容もダメすぎですが、」
『まだ見つかっていないだけ、この宇宙空間を隅々まで探した暁に見つかる、しかし科学者たちは一向に探そうとしない、実に怠慢な連中だ』
「という提唱者の言い訳も、ダメすぎです。他人に自分の主張の根拠を探させようとしている時点で、失格ですね」
最後にDさんが言いました。
「そんな小さなニセ科学を批判して悦に入っている段階ではない」
「現代科学文明社会の日本において、いまだにニセ科学を鵜呑みに信じるこの村の、理科教育の失敗をしっかりと認識し、村政のあり方を一から検討すべき段階である」
「そうしなければ、『ポケモンのジラーチが眠っている時間』が経っても事態が変わらないのである」
「なお、ジラーチが眠っている時間は約1000年と言われている」
これを聞いた他の論者たちは、「ふむふむ……えっ?」となりました。
場の空気の異変を察知した司会者が、Dさんに注意しました。
「御説ごもっともですが、その話は別の機会にしてくださるよう、お願いいたします」
Dさんは反論しました。
「そのような注意を述べて悦に入っている段階ではない」
「この討論会の失敗をしっかりと認識し、村政のあり方を一から検討すべき段階である」
「そうしなければ、太陽系が銀河系を一周するほどの時間が経っても事態が変わらないのである」
「なお、太陽系が銀河系内の軌道を一周する時間は、約2億5千万年と考えられている」
これを聞いた司会者は、「うん……えっ?」となりました。聴衆も、「ほう……えっ?」となりました。
それ見たDさんは、勝利宣言しました。
「みんな黙ってしまった、私の言っていることが的を射ており、反論する余地が一つもないからだ」
「私と同じレベルでニセ科学問題を語る村人が現れるのは、いつの日だろうか? いや、そんな日は永遠に来ない」
「切れ者はつらい、いつも孤独な立場に置かれてしまう」
言い終えたDさんは、やれやれという表情で会場を去りました。
以上、「そんな小さなニセ科学を批判して悦に入っている段階ではないと述べて一人勝ちした者」というお話でした。
【教訓】この話は、個別のニセ科学を取り上げて議論している場所で、「そんな小さなニセ科学を批判して悦に入っている段階ではない、もっと大枠の形でニセ科学を語る段階だ、そうしないとニセ科学問題はいつまで経っても解決しない」と言ってあげると、他の人たちが一斉に引いてしまうという現実を明らかにしています。
(この記事は、次のはてなブックマークを読んだ後で作りました)
segawashinさんのコメント
まあでももうこんな小粒なペテンを叩いて喜んでる段階じゃないのでは。
「多年にわたる失政による大気汚染」とはっきり認識して政治的に詰めていかなきゃ100年たっても花粉症対策なんかできない。
【追記】細かい話をしている論者を見かけたときは、「そういう段階ではない、今は大枠の形で話をするべき段階だ」と言ってあげる。
大枠の形で話をしている論者を見かけたときは、「細かい部分も語るべきだ、今のあなたは『森を見て木を見ず』の状態だ」と言ってあげる。
この行動を繰り返すことにより、自分一人の勝ちが次々と積み重なる。
「煙たい人という評判が立ってしまうのでは?」と思われた御方は、この芸に不向きな人である。採用を断念しよう。