創作小話『悪しき相対主義者の話に怒った傍観者』

 モヒカン的な論者が、ニセ科学的なブログを徹底的に修正して閉鎖に追い込みました。

 傍観していたAさんは、天に居る空飛ぶスパゲッティ・モンスターに向かって疑義を呈しました。
 「あのブログでは、一人しかダメな論者が居なかったにもかかわらず、ブログごと消し去るとは、やりすぎではないか?」

 すると、悪しき相対主義者が現れて、Aさんに言いました。
 「あのモヒカン的な論者が、ニセ科学的なブログを閉鎖に追い込んだ行為と、傍観していただけで済ませたAさんの行為は、相対的に同じです」
 「ゆえに、モヒカン的な論者にダメ出しする行為は、Aさん自身にダメ出しする行為と同じです」

 それを聞いたAさんは、怒りました。「あのモヒカン的な論者と私を同列に語るとは、許さんぞ!」
 Aさんは、悪しき相対主義者のブログに乗り込んで、散々に修正して閉鎖に追い込みました。

 空飛ぶスパゲッティ・モンスターが現れて言いました。
 「どうだ、これでもまだ、モヒカンがニセ科学的ブログを閉鎖に追い込んだ行為は、間違っていると言うつもりか」

 【教訓】これは、他人の批判の仕方に文句をつけたあと、自分も似たような批判の仕方を見せて得意顔している人に聞かせてあげるお話です。

創作小話『ニセ科学批判者に文句を2回言った者』

 ニセ科学批判者が、ある村を訪れてニセ科学の危険性を説教しました。
 村人のAさんが、反論しました。
「そんな説教は無駄だから、やめるべきだ」
 「私は賢いからニセ科学などには騙されないし、そもそもこの村にはニセ科学など流行っていない」

 ニセ科学批判者が村を去ると、流れの詐欺師が来てニセ科学製品を売り始めました。
 ニセ科学製品は大いに流行り、村のインフラもニセ科学製に作り変えられました。

 ニセ科学に囲まれた生活を送りながら、Aさんは言いました。
「この状況は、ニセ科学批判者の怠慢によって作り出された」

 【教訓】これは、ニセ科学批判者が活動していると文句を言い、ニセ科学批判者が休んでいても文句を言い、
 結局なにをどうやっても文句を呈する人が一定数いるという現実を明らかにしています。

創作小話『空飛ぶスパゲッティ・モンスターから【後釣り宣言発生装置】を預かったブロガー』

 空飛ぶスパゲッティ・モンスターが、過疎ブロガーのAさんに【後釣り宣言発生装置】を預けたあと、どこかへ行ってしまいました。
 その【後釣り宣言発生装置】は、一日に一度「後釣り宣言のコメント」を作ってアウトプットしました。
 おかげでAさんは、どんな議論にも最終的に勝ってしまうブロガーとして有名になりました。

 喜んだAさんでしたが、若干の物足りなさも感じました。「もっと有名になりたいな」
 「そうだ、【後釣り宣言発生装置】の中には、後釣り宣言のコメントがたくさん入っているに違いない」
 「それを全て取り出して、一気に使ってしまおう」
 「そうすれば、私はすぐに世界級のブロガーとなれるのだ」

 さっそくAさんは、【後釣り宣言発生装置】のカバーを開けました。中には、作成途中の後釣り宣言のコメントが一つありました。
 当てが外れたAさんは、がっかりしながら【後釣り宣言発生装置】のカバーを閉めました。

 その後、【後釣り宣言発生装置】は後釣り宣言のコメントを、いつまでたってもアウトプットしませんでした。
 そのために、どんな議論でも最終的に勝てなくなったAさんは、聴衆の関心を失い、たちまち過疎ブロガーに戻ってしまいました。

 Aさんが嘆いていると、空飛ぶスパゲッティ・モンスターが現れて言いました。
 「その【後釣り宣言発生装置】のカバーを人間が開けた場合、内部機構にロックが掛かり、人間の科学力では再起動できない仕様となっている」
 「ゆえに、人間のお前がカバーを開けようなどと試みてはいけない」

 【教訓】これは、せっかく訪れた幸運も欲張りすぎの行動を見せると逃げてしまうというお話です。

創作小話『できない理由を述べてはいけないと主張した者』

 ブロガーのAさんが主張しました。
 「世のニセ科学批判者たちは、ニセ科学信奉者の全員と一人残らず対話して、次々と相互理解を達成すべきである」
 「たとえ相手が頑固なニセ科学信奉者であっても、相互理解が達成するその日まで、対話の場から離脱してはいけない」
 「なぜならば、そのような決まりを私が作ったからである」

 すると、穏健派のニセ科学批判者を名乗るBさんが現れて言いました。
 「私も以前は似たような考えを持っていました」

 「頑固なニセ科学信奉者たちに語りかけて相互理解に達する試みを、753時間ネットに張り付いて続けました」
 (注記:753時間の理由:753=なごみ=和み=温和なニセ科学批判、という発想で決定した対話時間)
 「その結果、」
 『納得じゃのう、わしは効果を期待して山ほど購入したが、どれも科学的にデタラメな機器だったんじゃのう』
 「という台詞を述べてくれた人は、ゼロでした」

 「現在の私は、」
 『軽い気持ちでニセ科学を支持している人との対話を優先しよう』
 『それが自分のリソースを無駄に消費しない効率的なニセ科学批判だ』
 「という考えで行動しています」

 Aさんは反論しました。 
 「できない理由を述べてはいけない
 「B氏は過去に対話した頑固なニセ科学信奉者たちのところに再び赴いて、相互理解を達成せよ」
 「そのあとは、他の頑固なニセ科学信奉者たちのところに転じて対話して、相互理解を達成せよ」

 Bさんは問いました。「そこまで仰るAさんは、頑固なニセ科学信奉者たちの全員を納得に導く策をお持ちでしょうか?」
 「お持ちならば、ぜひとも教えてください、その策を採り入れて動きます」

 Aさんは答えました。
 「この私は、ニセ科学批判者たちに示唆を与える立場の者である」
 「ニセ科学批判の具体的な戦略を練る立場ではない」
 「よって回答は、『策は提示できません。というか、そもそもありません』となる」

 これを聞いたBさんは、一瞬だけ怒りを覚え、
 『お前のブログの過去記事を、すべて読んでやろうか……』
 『科学的に不正確な記述を続々と見つけて、片っ端から修正してやろうか……』
 『お前も吊るし上げにしてやろうかっ!』 

 とネットモヒカンモードに成ろうとしましたが、穏健派のニセ科学批判者を名乗っていたこともあり、
 「ここで芸風を変えると私の評判も変わってしまう」
 「ヒャッハーな支持者たちが増える事態になる」
 と考えた末に、「お答えいただきまして誠にありがとうございました、完全に納得しました」と言って帰りました。

 Aさんは勝利宣言しました。「B氏はお礼を述べて帰った、よって私の言動に何ら矛盾はなかったという理屈になる」

 【教訓】このように見知らぬ他人に向かって、「できない理由を述べてはいけない、できる理由のみを述べること、それが建設的な議論だ」と意見する人も、うっかりできない理由を述べたりします。
 それを踏まえて拝聴すれば、「一理あるけれど、この人に言われたくないな……」という気持ちが消えて楽になります。