創作小話『ニセ科学を擁護する科学素人と、普通の科学素人』

 「ふところが世界一広い科学素人」を自認するAさんは、次の信条を持っていました。
 「僕は、ニセ科学を許容する」
 「僕は、ニセ科学を好意的に紹介する人の行為も許容する」
 「それを認めずにdisっているニセ科学批判者たちは狭量だ、僕は絶対に許さない」

 その意気込みでブログを運営していたAさんでしたが、ある日にとつぜん閉鎖しました。

 不思議に思った他の科学素人たちが理由を問うと、Aさんは次のように答えました。
 「ブログを開設してからの僕は、ニセ科学批判者たちとの論争に明け暮れていた」
 「本当はニセ科学の擁護なんてする気はなかったのに、なぜか意固地になって、やってしまったんだ」

 「今日の朝、僕は目覚めてすぐに、ニセ科学批判者たちに対するネガティブキャンペーンの記事を、ブログに投稿した」
 「その直後、僕は思ったんだ」
 「こんな日々が、いつまで続くのかと」
 「こんな言論活動のありさまで、僕は一生を終えるのかと」
 「そんな老後を想像すると、虚しくなったんだ」
 「というわけで、僕は消えるね」

 それを聞いた他の科学素人たちは、安堵しました。
 「私たちは、ニセ科学の擁護にこだわらないタイプの科学素人だから、良かったね」
 「そうだね。少なくとも、毎日のようにニセ科学批判者たちからdisられる事態は、ないからね」

 【教訓】この話は、ニセ科学に擁護的なコメントの公開の数を増やしていけば後で生じる疲労感の数も増えるという現実を明らかにしています。