創作小話『簡潔な言葉と優しく暖かい言葉の二つで対話したニセ科学批判者』

 そのニセ科学批判ブロガーであるAさんは、ニセ科学を擁護する人と対話を行っていました。
 途中で、ある傍観者から指摘されました。
 「その簡潔な話し方は、いかがなものでしょうか? なんとなく、冷たい印象を持ってしまいます」
 「もっと、優しく暖かい言葉を使うと良いでしょう。相手は、科学の素人なのですから」

 なるほどと思ったAさんは、優しく暖かい言葉で対話しました。
 すると、別の傍観者が現れて指摘しました。
 「なぜに、余分な気遣いを見せるのか?」
 「甘やかしていないで、さっさと科学的な間違いを指摘して対話を終わらせなさい」
 「ニセ科学を擁護する者は、他にも五万と居るのだから」

 それを聞いたAさんは、嘆きました。
 「簡潔に対話すると、批判される」
 「優しく暖かく対話すると、批判される」

 「結局、私のニセ科学批判活動は全否定されるのだ。このうえは、引退するしかない」

 言い終えたAさんは、人里から離れた岩山の頂上に小さな庵をセルフビルドして移り住み、
 朝に夕に己の無力を嘆いて余生を終えました。(完)