創作小話『論敵同士』

 ある日、互いを論敵と認める二人が一つのブログに偶然居合わせた。
 二人は、そのブログの記事を同時に読んだ。
 一方の者は、科学的に間違っている部分を散々に罵倒した。
 もう一方の者は、誤字脱字の部分を散々に罵倒した。

 それを見たブログ主は、二人に言い渡した。
 「今から、あなた方をアクセス禁止とし、あなた方からもらったコメントを全て削除する」

 科学的に間違っている部分を罵倒した者は、ブログ主に尋ねた。
 「その処分を受ける者は、二人のうちどちらが先か?」

 ブログ主は答えた。
 「誤字脱字を罵倒した者が先にアクセス禁止となり、先にコメントを全て削除される」

 科学的に間違っている部分を罵倒した者は、安堵して言った。
 「あいつのコメントが削除されていく様子を、俺は見届けることが出来る。これほど喜ばしいことはない」

 『教訓:このように、論敵に勝ちたいという気持ちが強すぎると、論敵の信用が落ちる姿を見届ける事と引き換えに自分の信用を落としてもかまわないという思考になるのだ』