これは、あのことわざ「唇歯輔車」(しんしほしゃ)のニセ科学批判批判版である。
【なりたち】
苛烈なニセ科学批判ブロガーのAさんが、悪しき相対主義ブロガーのBさんに問いました。
「あなたのブログのコメント欄にニセ科学的な主張をしているCさんが常駐しているが、今から私が赴いてCさんに対する批判のコメントを述べてもよいか?」
Bさんが承知しようとすると、副管理人のDさんが現れて諫言しました。
「あのAさんはモヒカン的な思考の持ち主です、Bさんはムラビト的な思考の持ち主です」
「古来、自分の個人的な経験を一般化して語ってドヤ顔で締めくくる論者は、モヒカン的な論者から必ず狩られてしまうものと私は聞いています」
「つまり、CさんがAさんによって集中的に批判されて疲弊して倒れ込んだあとは、Bさんがターゲットとなるわけです」
「それはBさんの望むところではないでしょうから、Aさんの申し出は断るべきです」
しかしBさんは、「大丈夫です、この私は常日頃から『ニセ科学とまともな科学は相対的に同一です』と主張しているにすぎず、ニセ科学そのものを信じているわけでもありませんから」と言って、Aさんを自ブログのコメント欄に迎え入れました。
それを見たDさんは、「寄る年波に勝てず、副管理人を引退します」と言ってBさんのブログを去りました。
去り際にDさんは予言しました。「Bさんのブログは、数日内にネット上から見えない存在と化すであろう」
その後、AさんはCさんのニセ科学的な説をこれでもかと修正し、次にBさんの悪しき相対主義的な主張をそこまで掲げるかというほど吊るし上げてブログの閉鎖に追い込みました。
【なりたち、終わり】
この話の教訓は、苛烈なニセ科学批判者がターゲットにしている説は、ニセ科学を正面から擁護している説だけでなく、からめ手で擁護している説も視野に入っているために、中立を名乗りながらニセ科学批判批判を行っている論者も用心しておくに越したことはないというものである。
なりたちは古いことわざであるが、現代のネット社会にも十分に通用することわざなので覚えておきたい。