創作小話『ニセ医学を擁護して実践して感想を述べた者』

 その主人公であるAさんは、ニセ医学を唱えるブロガーが批判にさらされている状況を目撃して、不満を覚えました。
 「批判している人たちはおかしい、あのブロガーは個人的な感想を述べたにすぎない」

 そこでAさんは、ニセ医学を唱えるブロガーの熱心な支持者となり、自分でも数多のニセ医学を実践しました。

 しばらくして体調が悪くなったAさんは、意識が遠くなりながら感想を述べました。
 「私は、見知らぬ他人のために擁護の論を張ってあげたし、自分自身の体でニセ医学の実態を世間に知らしめてあげたし、」
 「畳の上で長らく横になって休むことができたし、もう思い残すことはない」

 【教訓】この話は、周囲の人たちはともかく、ニセ医学を信じている本人は幸せな時間を過ごして眠れるということを、例えています。

創作小話『イヌと道に落ちていた医学的なエサ』

 空腹に困っていたイヌが道を歩いていると、『医学的に正しいエサ』という能書きが付されたエサが落ちていました。
 それを見たイヌは、大喜びでエサを食べました。
 すると、イヌの体調が急激に悪化しました。
 「これはどういうことだ」とイヌが能書きを改めて読むと、『ニセ医学的に正しいエサ』と書かれていました。
 「ニセ」の部分の文字が消えかかっていたので、見つけた当初は気がつかなかったのでした。

 意識が遠くなりながらイヌは反省しました。
 「これは当然の結果だ。ニセ医学的なエサかどうか、ぼくは確かめもせずに飛びついたのだから」

 【教訓】この話は、ネット上で見つけた医学的に変な内容の記事をよく読まないまま自説に取り入れると、もれなく後で痛い目にあうという現実を明らかにしています。

創作小話『ニセ医学的なエサを見つけたカラス』

 空腹のカラスが、ニセ医学的なエサを見つけました。
 さっそく食べようとしましたが、ニセ医学のエサに書かれている文章を見て気に入りました。
 「おもしろそうなことが書かれているな、もっと読んでみよう」

 やがて、ニセ医学にどっぷりと嵌ったカラスは、体調を悪くして倒れました。
 意識が遠くなりながら、カラスは言いました。
 「なんてことだ、自分の気に入ったものが仇になるとは」

 【教訓】これは、すぐにでも手に入れたいと思う物が、今の自分にとって本当に必要な物かどうか、
 深く考えないで行動してしまうタイプの人に聞かせてあげるお話です。

創作小話『この村では狂犬病のワクチン接種を廃止すべきと主張した者』

 その主人公であるAさんは、村の広場で主張しました。
 「この村では、数十年にわたって狂犬病が発生していない」
 「ゆえに、狂犬病のワクチンの接種は廃止すべきという結論になる」
 「これは、論理的にも正しい結論である」

 それを聞いた村人たちは、会議を開いて狂犬病のワクチン接種の廃止を決定しました。
 Aさんは、涙を流して喜びました。
 「やっと面倒な作業から開放された」
 「これからの人生は、自由に使える銭と時間が増える。こんなにめでたいことはない」

 しばらくして、村に狂犬病が蔓延しました。
 村の動物たちは、次々に倒れました。村の人間たちも、倒れました。
 最後に残った人間はAさんでしたが、やはり倒れ込みました。
 Aさんは、意識が遠くなりながらも、強がりました。
 「この身に起きたことは、自分の信念を通したゆえの結果なのだから、悔いはない」

 【教訓】これは、公衆衛生の大切さを知ってもらうための、架空のお話です。

創作小話『凍りついたニセ医療的な石を暖めた者』

 その主人公であるAさんは、雪山で凍りついているニセ医療的な石を発見しました。
 かわいそうに思ったAさんは、ニセ医療的な石を懐に入れてあげました。
 「こうすれば、この石も暖かい思いをするだろう」
 すると、Aさんの懐で暖かくなったニセ医療的な石は、魔の力を発揮して、Aさんの持っている銭をすべて吸い込みました。

 破産宣告を済ませたAさんは、自分探しの旅に出ました。
 数日後、Aさんは人里から離れた崖の上に辿りつきました。
 Aさんは、過去を振り返りました。
 「あのとき、どうして私は、ニセ医療的な石を暖めてしまったのだろうか」
 「だが、もうおそい。それを考えても、現状は何も変わらない」
 「私の人生の旅は、ここで終わりなのだから」

 言い終えたAさんは、空中に身を委ねました。

 【教訓】これは、ニセ医療は他人の懐を寒くしながら自分の懐を暖めるというお話です。

創作小話『ニセ医療的なエサとハエ』

 空腹のハエが、【ニセ医療的なエサ】のかたまりを見つけたので、これ幸いと吸い始めました。
 吸えば吸うほど幸せな感覚が増して、時間を忘れて吸いました。

 そのうち、【ニセ医療的なエサ】が体中に絡みつき、呼吸が苦しくなってきました。
 飛んで逃げようとしましたが、すごい粘着質のエサだったので、離れることが叶いません。

 ズブズブと【ニセ医療的なエサ】の中に取り込まれ、意識が遠くなりながらハエは言いました。
 「こんな形で黄泉に行くとは、思いもよらなかった」
 「どうして私は、吸っている途中で、『はて? いつもの標準のエサと、なにかが違うような?』と疑わなかったのだろうか」

 『教訓:この話は、ニセ医療的な説に接した際に、必要以上にのめり込むことの危険性を教えています』